自らに 堀口大學 | a.r.t.

自らに 堀口大學

発行中の MySkip12月号・堀口大學」特集 から、大學の詩をひとつ。

自らに

雨の日は雨を愛そう

風の日は風を好もう

晴れた日は散歩をしよう

貧しくば心に富もう



大學得意の四行詩であるが、約1600あるといわれる詩の中では主題も技法も正統的で、何の変哲もない詩のように見える。しかしこの詩は戦前の、自由に表現活動ができなかったころの作品で、そうわかって読み直してみれば、当時の大學の思いがそれとなく伝わってくる。‥とは、誌面の解説原稿からの引用。

技法的にも工夫が凝らされていて‥‥と、その解説はこのあとも続くがここでは割愛。この詩を書いた時代、自由に表現活動ができなかったころを、大學は「窒息時代」と呼んでいたそうだ。