街角のオジギビトとおかめ納豆 | a.r.t.

街角のオジギビトとおかめ納豆

とり・みき著「街角のオジギビト

(発行:筑摩書房 1,470円)

↑は昨日の朝日新聞・書評欄で紹介されていた本。

要は、工事現場で掲げられる「ご迷惑をおかけします」の看板のイラスト人物像を“オジギビト”と命名し、それを集めたもの。日頃あんまり意識しないのでどれも同じように見えてしまうのが普通だが、実はさまざまで多種多様な“オジギビト”が存在するらしい。こういった話はけっこう好きだ。

評者の南伸坊氏は「“収集されたもの”というのは一定量を超えると新たな面白さを生み、それは個々の収集物を見るというより、その集合から引き出されてくる面白さである」として、今まで見えていなかったものがガラリと違って見えてくる楽しさを述べている。


と、その記事を面白く読んでいたところ、そういえば自分自身も「おかめ納豆」のパッケージを捨てずに収集していることがふと頭をよぎった。「おかめ」の顔を使うというデザインはよく考えると可笑しいし、おかめさん自体は不変だが、季節にあわせてデザインを変えた限定バージョンが出たりすることも気をひき、以来4年近く、納豆は嫌いで食べないくせに「おかめ」銘柄パーケージの観察癖・収集癖がなんとなくついている。

笑えるアート展 会場風景の一場面


おかめ顔にイタズラ書きを加えては楽しんでいただけだったが、最近は数も増え、“収集が新たな面白さを生む”感が出ていたので、ちょうどタイミングよく誘われた「笑えるアート展 」なる画廊企画に出品しようと、このたび作品化してみた。

積もり積もったたくさんの材料をどうアートに料理するか、思案のしどころだったが、展示スペースの制約も考えて結局はミニテーブル上でのミニインスタレーション作品にと仕立てた。思考したり模索したりという時間は長かったが、出来上がりはただ並べただけなので、それ(表面)だけ見ると「構想4年、制作数分」という作品。来場者がどう反応するか楽しみではある。


右上の画像は昨夜展示作業を済ませたばかりの同展会場。筆者作品を避けて、鉄のオブジェが並ぶ重厚なゾーンに角度をあわせて撮影した。展覧会は明日から、ギャラリーdotONE にて。